身体づくりの基礎知識

ドベネックの樽の理論

特に「ドベネックの樽の理論」と呼ばれるものはとても有名です。

この「ドベネックの樽の理論」というものが、しっかりとした体づくりをする際に不可欠であり、とても役立つ知識となります。

それは例えば、一つのアミノ酸を摂取して何かしらの効果を求めたとして、「その効果が上手く働くためには、そのアミノ酸以外のアミノ酸も必要になってくる」というものです。

成長ホルモンは191個の、様々な種類のアミノ酸が連なって出来ています。つまり、それだけ多くの種類のアミノ酸がある事で「成長ホルモン」が作られています。

例として、成長ホルモンの分泌を促すためにはアルギニンが必要だといって、アルギニンやその他いくつかのアミノ酸(4〜5種類程度)を摂取したとしても、成長ホルモン自体が他の複数のアミノ酸とも結合して作られているため、それ以外のアミノ酸のどれかが不足していた場合には、摂取してもあまり意味のない事となってしまうのです。

また、成長ホルモン自体がきちんと分泌されていたとしても、その成長ホルモンが働きかける骨端軟骨で骨が生成される際にも、「ドベネックの樽の理論」というものが関係してきます。

骨は様々なアミノ酸から作られる人コラーゲンがミネラルと結びつくことで生成されるため、いくつかのアミノ酸を摂取していても、他のアミノ酸が不足していることで、骨を作る働きにバラツキが出てしまうのです。

ここにも「ドベネックの樽の理論」というものが影響してきます。

そもそも「ドベネックの樽の理論」とは

食事やサプリメントの摂取で人の体内に入るそれぞれのアミノ酸を樽の縦板に例えて、どれだけ有効に活用されるのかを判り易くしたものが下図です。

これが「ドベネックの樽の理論」です。アミノ酸がいくらたくさんあっても、その中で一番少ないアミノ酸の量の分しか水はたまりません。結局はこの少ない量のアミノ酸分しか骨のコラーゲンや体の部品(材料)となるタンパク質は作り出されないのです。

つまり「水がたまる分しかアミノ酸は有効に働かないで、それ以外は流れ落ちて(無駄になる)しまう」ということです。

「体づくり」においても「体や骨を作り出す働き」においてもこの「ドベネックの樽の理論」は大きく影響します。特に成長が止まり、既に大人になった方々以上に「現段階で成長期の方」はこの理屈や知識がとても重要になってくる訳です。

成長(=骨や体を作る)にはこの「ドベネックの樽の理論」が非常に重要。

「ドベネックの樽の理論」は成長だけに当てはまるものではありません。
人の活動や、生理機能を円滑に働かせるビタミンやミネラルにも、この考え方は有効だといわれてます。 

例えば何かのビタミンを摂取する際には、複合ビタミンの形で摂取する方が、単体で摂取するより、よりはるかに良く働きます。
もちろん他の栄養素についても同じことが言われています。

サプリメントは「目的に合う特定の栄養素だけを摂るもの」と言われる人もいます。
しかし、実際には成長期にある人が、普段の食事を大人よりもたくさん食べていたとしても、そこで摂取される栄養は偏りがあるものです。
これを「ドベネックの樽の理論」に当てはめると「栄養が偏ることで、樽に水はたまらない(=働かない)」状態になってしまうのです。
その結果、骨の生成や「体づくり」が上手くできなくなってしまいます。

ですので、まだ体が成長できる人には「ドベネックの樽の理論」というものが成長の止まった大人より重要になります。サプリメントにしても大人が使用するものとは違って、「ドベネックの樽の理論」をしっかり踏まえ「水がためる(活用される量)」ことができる「成長年代向け」の成分構成も必要になってきます。

「自分はたくさん食べてるし材料もたくさん摂取している」と思えても、「成長に関連する成分がないから、結局骨や体はうまく作られない」場合と「たくさん食べてるように見えなくても、成分はしっかり取れてる」との間には大きな違いが生まれます。

だからこそ、プロアスリートやプロモデルのような人は「ドベネックの樽の理論」というものをしっかりと学んでいるのです。

このページの先頭へ